スクラム神話:スクラムに計画はない

読者の皆様、 Scrum.orgのプロフェッショナルスクラムトレーナー(Professional Scrum Trainer・PST)をしております、グレゴリー・フォンテーヌと申します。このブログでは、今後シリーズとして、海外のPSTが投稿した英文ブログの中から、質が高く日本の読者の皆様に関連性の高い記事の日本語翻訳版をご紹介していく予定です。このシリーズのブログ記事の全リストをご覧になりたい方はAgorax.jpのホームページから見ることができます。また、すべてのブログ記事には、私自身の短いコメントを添えております。 はじめに アジャイル開発に対する反論の中には、アジャイル開発の仕組みに対する理解不足によるものがあります。最も一般的な誤解の一つは、アジャイルチームは考える時間や計画を立てる時間を取らないというものです。しかし正しい情報を伝えればこの誤解は解くことができます。こちらでご紹介するプロフェッショナルスクラムトレーナー(PST)のステファニー・オッカーマンの記事は、スクラムでどのように計画が行われるのか、そしてなぜそれが効果的(正しい質問に答えることになる)で効率的(無駄を最小限に抑える)なのかを説明する素晴らしい記事ですのでぜひご一読ください。 ---------------- 著者:ステファニー・オッカーマン英語版:Scrum Myths: There is No Planning in Scrum 私がトレーニングやコーチングをする際に、「スクラムには計画がない」というスクラム神話を繰り返し見聞きします。 残念ながら、この神話は2つの悪い結果を招きかねません。 まずは、予算や製品管理、営業、マーケティングを担当する組織の人々は、スクラムを試したがらないかもしれません。また、スクラムチームがスクラムを効果的に活用できないかもしれません。 現実には、スクラムでは多くの計画を立てます。ただ、効果を最適化するために異なる計画を立てるだけです。 スクラムでは、計画そのものよりも計画をするという活動を重視する 私たちは、計画は変更されることを知っています。そしてこの考え方は、計画に従うよりも変化に対応するというアジャイルの価値を尊重するものです。 スクラムでは、計画という行為は協調的な行為である スプリントはスプリントプランニングから始まり、スクラムチーム全員が参加します。これは、チームとして達成したい、価値ある結果を決定するための共同交渉です。開発チームはスプリントバックログを作成し、何が納品されるかを特定し、その価値ある成果を達成するための緩やかな計画を立てます。 デイリースクラムは、開発チームが進捗を確認し、スプリントゴールを達成するために計画を調整するための共同計画セッションです。 スプリントレビューは、次のスプリントを計画するために必要な情報を収集するための共同セッションです。スプリント・レトロスペクティブは、継続的な改善を可能にし、計画するための共同セッションです。 スクラムでは、仕事をする人が計画を所有する 開発チームはスプリントバックログを所有します。開発チームはスプリントバックログを作成し、変更することができます。このオーナーシップは、計画が現在の現実を反映し、最も知識のある人からのインプットを取り入れることを意味します。リリースレベルの計画や予測は、スクラムチーム全体が所有します。スクラムの役割には明確な責任があるため、協力が必要です。 スクラムにおける計画は、すべてのイベントの一部である すべてのイベントにおいて、スクラムでは検査と適応が行われます。 それが計画の本質です。…

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